電車内での携帯電話使用ルールが変わる ペースメーカーと携帯電話の歴史

首都圏鉄道各社が10月より優先席付近の携帯電話使用制限を緩和するという。あの『優先席付近では携帯電話の電源をお切りください』が『混雑時には~』という表現に緩和されるようです。

Jrポスター

ペースメーカーに対する日本の電波管理を担う省庁は総務省なんですが、2013年には影響が”ほぼ”無いという報告をしているんですね。”ほぼ”という表現がいかにも保険を掛けた表現ですが一般的な解釈では可能性はゼロということです。

ペースメーカーは本体に電池と発信機を備えていて本体からはリード線が出ています。このリード線を直接心臓に接触するように固定することで発信器から出力される電気刺激を伝えますが、近年の最新式は血圧や血流を監視して最適なタイミングで駆動します。

心臓は筋肉なので電気刺激を与えることで収縮します。アブトロニックなどのEMSや低周波治療器で筋肉が動くのと同じ原理です。この仕組みを利用して、一定の間隔をあけて電気刺激を与えることで心臓の拍動を安定させることができます。ちなみに本体は胸部や腹部に埋め込むようです。電池は5年から10年持つようで、手術は1時間から2時間、術後入院期間は10日ほどのようです(ペースメーカーとは)。

一定の刺激を与えるためには一定の発信が必要なのですが、昔に比べどう改善したのでしょうか。
携帯電話とペースメーカー使用に関する指針の変遷

・1996年 22cm離すことが望ましい。

・2000年 (社団法人)電波産業界が『22cm離す』とする指針は妥当と発表

・2003年 交通機関において携帯電話使用を控えるようアナウンスを開始

・2010年 総務省の調査で最近の携帯電話やPHSの発する電波は影響はない、ただし旧型には問題が残るため『22cm離す』指針は現在も妥当であると発表

・2013年 総務省は『15cm離す』に緩和し、「満員電車の社内では電源を切ることが望ましい」という一文を削除。3G以降の携帯電話では影響は見られなかった。

・2014年 総務省発表に伴い、7月から関西地区の私鉄とJRは携帯電話電源オフ規制は「混雑時、優先席付近だけ」とした

・2015年 関東の鉄道各社でも10月より関西地区同様の案内へ変更

あくまでこれらは携帯電話使用に関するものです。ペースメーカーに影響を与える電子機器は存在します。このリンクで確認してください。

電池についても1932年にアメリカのハイマンが開発した体外・手動式に始まり、やがて電池を組み込んだ体内埋め込み式、それからはリチウム電池の開発による駆動時間の向上がなされています。現在研究中のようですが血中のグルコースを燃料とした燃料電池が実用化中であり、電池交換による再手術はなくなるかもしれません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする