MVNO市場が盛んになってきていますが、携帯電話を利用するための仕組みってほかの家電とは一線を画していると気づかせてくれたのもMVNOなのかもしれません。
MVNOを利用する仕組み
MVNOはドコモやauの通信網を使用して『通信サービス』を提供する業者です。ユーザーはMVNO業者が提供するSIMカードをスマートフォン等に挿して利用し、基本使用料と従量制の通話料金を支払います。
使用する端末は『SIMロックフリーの電話機』です。初めからSIMフリー端末として販売されているASUS ZenFone2 (ZE551ML-GY32)や、ドコモやauの通信網をMVNO業者は使っているので端末によっては解約後の端末(白ロム)がそのまま使えたりします。
ASUS ZenFone2 (ZE551ML-GY32)
家庭の固定電話の仕組み
今更ですが、家の電話の仕組みを考えます。家で電話機を使用するには固定電話加入権を手に入れ、毎月2000円程度の基本使用料金と3分10円程度の従量制料金を支払います。一昔前は『電話加入権』(当時は8万円ほどもした)と言いましたが、今は仕組みが変わって施設負担金を4万円程度支払って契約を結びます。
電話加入権は8万円、税制上の扱いも特に大口の企業にとっては価値があったので、システムが変わり加入権自体が無価値になってしまったことで訴訟問題になりましたが、通信網が完成した今は利用者に負担を求める必要がなくなったとかの理由で変わったようです(電話加入権問題)。
話はそれましたが、NTTと通信サービスを契約した後は個人で勝手に電話機を購入し電話を利用しますね。端末の選択にはSIMフリーとか3G、LTEというややこしい制約はありません。NTTも東西に分かれていますが、SIMロックがあるとすればNTT東とNTT西で制限がかかるようなものでしょうか。ありえませんよね。
携帯電話の仕組み
携帯電話が登場した時からそうだったように思いますが、通信サービスの契約と同時に端末を購入するという仕組みは上の2つの例と比較しすれば異質に感じませんか?これはドコモやauといったキャリアがメーカーに独自の仕様の端末を作らせる代わりにメーカーから買い上げるためキャリアが端末を販売するというシステムになっているようです。
そもそも端末は高価なものであり、例えばよく売れるXperiaやiphoneといったハイエンド端末の価格は8万円~9万円もするのです。話すだけのものであれば数千円で買える固定電話の場合と訳が違いますね。『ちょっとしたパソコンよりも高いということに多くのユーザーは気づかないで使っている(使わされている?)』ようにも思えます。
そんなに高価な端末を『実質0円』というように『タダ』で手に入るように見せかけることはセールス戦略としては非常に優れているように思います。”こんなに機能盛りだくさんの端末が0円で手に入る”という気持ちが月々1万円にもなる利用料金に対する疑問の思いを和らげているのではないでしょうか。
再び各国の携帯電話料金の話
『月々1万円』が安いのか高いのかについては以前調べましたが『日本の携帯電話料金は高い?』、日本の携帯電話会社はそのまま売れば非常に高価な端末を売らなければいけないのでどういう戦略をとるかと言えば、始めは『0円』で販売するとユーザーを捕まえて契約を結び、2年間の利用料金から『徴収する』ということをします。もちろんそれだけがすべてではなく携帯電話会社が他から得た潤沢な利益が含まれているのかもしれませんが、新規顧客を増やすことを第一とした販売方法を見る限り、それほど間違っていないのではないでしょうか。
しかし、古い端末があったらSIMカードを挿して試してほしいのですが、非常にストレスを感じます。パソコンにも言えることですが、次々と新しくなるOSに対応しきれないのですね。2年ごとに買い替えるのは日々進歩する携帯電話の世界の歩調に合っているのかもしれません。
まとめ
通信サービスと端末が切り離され、固定電話のように例えばドコモはSIMカードだけ提供し端末は家電量販店で買うというシステムになれば、電話会社に支払う月々の料金は安くなるかもしれませんが時すでに遅しなのかもしれません。なぜならドコモやauやソフトバンクは企業として大きくなりすぎてしまったため、いまさら通信サービスだけ提供するようになるには規模を縮小せざるを得なくなるでしょう。
一方端末は高いものから安いものまでニーズに応じて淘汰が起こり、撤退するメーカーが増えるかもしれません。ファーウェイやシャオミ、Asusといったグローバルメーカーがますます台頭しそうです。日本のメーカーは一定数をキャリアが買い上げてくれる現システムのほうが良いということもあるでしょう。