日本の携帯料金は高い?について調べてみました

ソフトバンクの孫社長が「日本の携帯料金は決して高くない」「iPhoneは世界一安い」と決算発表で述べていました。

孫社長の発表のポイントは次の通りです。

・通信品質を考えれば決して高くない

「少なくとも日本のネットワークは、アメリカ(北米)よりもはるかに進んでおり、それをアメリカよりもはるかに安い料金で提供している。欧州の先進主要国と比べも、日本のネットワークは何倍も優れているのではないか」

・iPhoneについては、端末代を含めたコストは世界一安い

「世界でiPhoneを一番安く提供しているのが日本であることも、皆さんに再認識してほしい」「ほかのスマートフォンよりも優遇されている」

・家計に占める通信料の割合が上がっているがいろいろな機能があるから当たり前

「カメラ、テープレコーダー、目覚まし時計、カレンダー、手帳、ウォークマン、新聞、雑誌など、ありとあらゆる機能が1台のスマホに置き換わった。複合的なサービスを1台でこなしていると考えると、他に使っていた費用がこちら(スマホ)に代替されるといえる」

・端末料金を通信料に乗せることはソフトバンクが先駆けだが、みんなやっている

 「ソフトバンクが携帯事業に参入する前は、端末はほとんど無償に近い形で提供されてきたが、それはおかしいんじゃないかということで、端末と通信を分けて、割賦販売を開始した。割賦販売をする代わりに、通信料から値引きする――。これはソフトバンクが世界で最初に実施した。当時はなかなか業界にも一般にも理解してもらえなかったが、今は世界中の事業者が割賦販売をやっている」

そういう言い方もありますね、という感想ですが、はたして日本の携帯料金は高いのか安いのか??どっちなんでしょうね。

総務省の調査を基に考える

孫社長の発言について調べていたところ、料金については総務省が毎年調査しているようでした。平成26年度 電気通信サービスに係る 内外価格差に関する調査を基に調べてみます。

物価の違いを考慮

それぞれ円換算されていますが、このときに用いたレートは購買力平価でニュースなどで見かける為替相場とは違います。これは同じものであればその価値はどの国でも同じであるという考えから通貨の力を基に算出されたレートです。

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(日本での価格(円)÷日本国外(米国)での価格(現地通貨))

一般的なプランで比較する

資料にはいろいろなパターンがありましたが(音声36分/月、データ2GB/月)というユーザーが結ぶ料金プランについて、各国の代表的な携帯電話会社を調べてみた結果が次の図です。

hikaku

これを見ると確かに高くないですね。

その他通信サービスはどうか??

その他の通信サービスも一緒に示すとこんな感じです。この図では中心に近づくにつれて高くなると読みますが、孫社長の言うとおり、先進国の中では安いほうかもしれません。

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以上3資料:

平成26年度 電気通信サービスに係る 内外価格差に関する調査より出典

身近なものの料金と比べてみる

ビッグマック指数という言葉を知っていますか?イギリスの経済誌が毎年発表する数値なのですが、これも一物一価の法則に基づく考え方です。ビッグマックはどの国でも同じ大きさ、同じ品質で提供されるそうなので、ビッグマックの価格で実効為替レートを計ると言う指数です。

たとえば今現在ビッグマックの値段が370円ですが、これがニューヨークでは4.79ドルです。したがって、370円/4.79ドル=77.2円/ドルが実効レートで、現レートである121円/ドルは円安に傾きすぎているといえることからやがて円高に向かうであろうという予測に用います。

今回の調査で用いられた104円/ドルが77.2円/ドルだったら、10601円のニューヨークの料金は7869円になります。

同じようにソウルと比較すると、ソウルのビッグマックが4300ウオンなので、0.086円/ウオンです。したがって、0.122円/ウオンとするところを0.086円/ウオンで計算しソウルの料金が3646円となります。

ビッグマックひとつを基準に考えながら比較するとなんだか身近に感じ安いですね。

気持ちの問題もあるのでは??

携帯料金は他国と比べても相対的には高くない。しかし絶対的には高いということでしょうか。電話サービスという公共インフラにそんなに払うのは如何なものかという気持ちからきているように思います。

海外での事情については調べ切れていませんが、通信料金と端末料金はやはり分けて考えるべきだと思います。通信料金だけにして利用者に提示することで、どうして高いのか、何に掛かっているのかという議論がしやすくなるのではないでしょうか。池田信夫さんの言うように抜本的な改革が出来るのかできないのかに掛かっていると思います。

端末とセット販売にもっとメスを

総務省が近頃取り組んでいる「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」では「通信料金と端末代金が一体化していて分かりにくい件」が議題に上りました。docomoやソフトバンク、auなどの業者が通信インフラの整備をして通信サービスを提供し、さらに端末まで売るシステムではセット販売になるのは当たり前でしょう。

近頃になってやっとSIMロック解除を義務付けましたが、その端末を他社に持っていってNMPをしたとして、いったい利用料はいくらになるのでしょう。今度計算してみますが、端末に対して付いていたサポートがなくなり、料金総額は変わらない気がします。割賦で買った場合に3年目以降は通信利用料のみの契約になりますが、現システムでは買い換えないと損だったような。

端末の寿命が短すぎるのではないか

OSを牛耳る会社が仕様変更すると、端末はそれに合うようにファームウェアの更新をしますが、やがてそれが追いつかなくなる。コスト的にも利益が見込めない。テレビのように長く、せめて数年間は継続して使えるにはどうしたらいいんでしょうね。そもそも数万円もする端末が2年やそこらで使い物にならなくなるとして買い替えを促すのがそもそものおかしな話のような気もします。

総務省にはもっとがんばってもらいたいものですね。