携帯電話の2年縛りがなくなるとどうなるのか

携帯電話料金の昔と今

まだ私が大学生のころ、携帯電話はmova機によるiモードが全盛期でした。たしか、バリュープラン(1800円くらい)とパケホーダイ(3900円)で何とか割が効いて税込み5700円くらいだった様な。パケホーダイなのでメールやネットは良く使いましたが、家族以外の人との通話は無料通話の1000円以内に抑えるようにしていました。それが今では6500円ほどが標準的な金額でしょうか。

高くなったといえばそうなんですが、昔に比べれば通信速度も品質も劇的に向上し、生活に占める役割も大きくなっている訳であるからしょうがないと言えないこともないですね。下のグラフからも分かるように、携帯電話に使うお金の割合が昔に比べて増えているのは確かです。

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(出典:じわりと増加する携帯電話代負担…電話料金と家計支出に占める割合をグラフ化してみる(2015年)(最新)より)

長期契約するメリットってあるの??

大学生のときはMNPなど無かった時代ですから、キャリアを変える場合は電話番号も変わりました。新し物好きな私は面白そうな端末があれば躊躇無く、キャリアを変えていたのでちょくちょく電話番号が変わって友人の顰蹙を買っていました。そして、FOMAになってファミ割りなどの登場で基本使用量が半額になるのですが、これが私と2年縛りとの出会いだったでしょうか。なかなか解約が出来なくなって、ひとつのキャリアに落ち着くようになります。

ドコモの場合、ずっとドコモ割ができて長期契約者も少しは恩恵を受けることが出来るようになりましたが、契約プランによっては数百円引き。新規契約者には手厚い補助。これらの割引原資はユーザーの利用料金ですが、古い端末を使い続けている人も、新規に契約を始めた人も変わらない基本料金を納め、一方はたったの数百円、そして新規者には端末代と乗り換え割りなど盛りだくさんのサポートでは釈然としないでしょう。

最近docomoへMNPしたのですが、やはり現システムでは長期契約のメリットは見出せない。だって、料金も安くならない上に端末を買う補助が新規契約者に比べてはるかに薄いんですから。家族であれば契約のタイミングを合わせて2年ごとに転々としたほうが端末も新しいものが使えて良いですし、きっと古い端末では新しい通信インフラに対応出来ない。

いつまでこのようなシステムか分かりませんが、現状はそんなところです。だったらMVNOはどうかと使ってみたところ、将来はどうなるか分かりませんが、私の利用環境には適しませんでした。SIMフリー端末が充実してきているのでちょっと明るい兆しも見えますが、大手が同じようなことをしてしまえばMVNO業界はたちまち下火になるでしょう。

2年縛りがなくなるとどうなるか

そして本題、あくまで予想ですが、携帯電話端末と利用料金の住み分けが明確になると思います。今まで0円が当たり前で気にならなかった端末代金が見えるようになり、料金も高くなるでしょう。

2年縛るということは2年間に契約者から一定の金額が徴収できるので、その見込み収益から様々な販売助成策を打ち立てることが出来ます。しかしいつでも解約が可能な状態になれば、様々な販売助成策のための原資が確保できなくなります。現在でも縛りの無いプランはありますが、高いですし。(例:ドコモ光の料金プラン 括弧内の料金がいつでも解約できるプランで千円以上高い)

さらに、携帯電話の端末代金と通信利用料金の区分けがもっと明確になって、端末を手に入れるのは家電のように自前で行い、通信会社はSIMカードだけ提供って状況になるとこれまでの営業利益を確保するために料金はさらに高くなるのかもしれません。適正かどうかは分かりませんが、ボランティアではなく企業なので利益を出さなければなりません。

2012年の資料を基にした試算ですが、収入の3兆7411億円に対し、経費は1兆2092億円だそうです。差額の2兆5000億円は利益や販売促進費用となるようです(めげ猫「タマ」の日記)。

iphoneは安いのか?

話はそれますが、Appleが携帯電話会社にiphoneをいくらで卸しているのでしょうか。販売促進費用を通信利用料金から捻出する携帯電話会社はどれだけ儲かるのでしょうか。量販店への他のApple製品が相当な高値で卸されていることを考えると、iphoneも卸値は高いのでしょうね。

 iPhone本体の卸値について,Apple社は明らかにしていないが,出荷台数と売上高から試算して1台当たり622米ドル(5万6000円)になるという(写真3)。「端末は199ドルなどで販売されているが,400米ドル程度を携帯電話事業者が負担させられていることを意味する」(日本経済新聞)

これは2010年の記事なのでiphone4のことですが、端末代金は16GBモデルが649ドルでした。したがって、27ドルの利益しか出ません、ひどい。

それでもiphoneを売るためには、卸値の安い他の端末利用者を犠牲にして(同じような料金を徴収して)iphoneの販売補助に回すのです、たぶん。

たくさん売って、ユーザー増やして、徴収した料金で補助をしてまた売って、なんだか自転車操業みたい。アップルの販売ノルマは厳しいようですし。

こんなiphoneですから、2年縛りそれ自体が悪いわけじゃないんじゃないか。新しい携帯端末を初期費用なしで手に入れるためにはいい方法だと思います。まあ結局のところ自分で支払っているのですが。

それにしても携帯電話会社はちょっともうけすぎかも。民間会社としてこの経営状態が当たり前になっている今、国が動くしかないんです。

寡占企業業界というのはどうしても儲かってしまいます。その最たるものがテレビ。

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